
1) 君に胸キュン。 (YMO)
2) 月の舟 (池田聡)
3) Travelling (宇多田ヒカル)
4) Your Song (エルトン・ジョン)
5) 言葉にできない (小田和正)
6) ごはんができたよ (矢野顕子)
7) What a Wonderful World (ルイ・アームストロング)
8) ヨイトマケの唄 (美輪明宏)
9) MAGIC TOUCH (山下達郎)
10) Hello, my friend (松任谷由実)
11) 時代 (中島みゆき)
12) Rain (大江千里)
13) Missing (久保田利伸)
14) 若者のすべて(フジファブリック)
15) 聞き間違い (YUKI)
どの曲も、原曲を見事マッキーカラーに染めたカバーとなっているのだが、やはりオリジナル楽曲の良さも改めて痛感してしまうようなカバーアルバムだ。

この15曲の中で僕が特に好きな曲が『Rain』。元々大江千里の曲だが、秦基博がカバーしたバージョンが新海誠監督の映画『言の葉の庭』で感動的に使われて、すっかりこの曲が好きになってしまった。マッキーのカバーバージョンは秦基博のバージョンにも、大江千里のバージョンの雰囲気をそれぞれ上手く踏襲しており、良い意味で上手く寄り添った上で、見事なマッキー節に仕立てられている好例だろう。なかなか聴き応えあり、大江千里オリジナル、秦基博バージョン、マッキーバージョンを聴き比べるのも楽しい。

久保田利伸の名曲バラード『Missing』のカバーも見事な出来映えだ。こちらもオリジナルのイメージを踏襲しながらも、サビでマッキー流の独自アレンジが付けられており、カバーもオリジナル並みに味わい深いものとなっている。

そして今回新録となったフジファブリックの『若者のすべて』、そしてYUKIの『聞き間違い』の2曲が兎に角素晴らしい。
『若者のすべて』はフジファブリックの人気曲で、センチメンタルな衝動を駆り立ててくれるメロディーと歌詞の名曲だが、マッキーもこの曲を初めて聴いた時に衝撃を受けたというだけあって、特別な思い入れのあるカバーだ。オリジナルにも決して劣らない感動的なサウンドを奏でてくれており、個人的にはオリジナルよりもこちらのカバーの方が好きになってしまったくらいだ。

そしてYUKIの『聞き間違い』もマッキーがオリジナルの歌詞にも惚れ込み、今回カバーしたらしいが、確かにオリジナル自体がとても良い曲であり、オリジナルの良さを損なわないように忠実に再現しながらも、マッキー流の見事なアレンジが加えられており、カバー曲事例の秀作と言える出来映えなのだ。

それにしても、このカバーベストアルバムは秀作揃いでとても心地良いアルバムに仕上がっている。原曲のイメージを損なわないレベルで自分のものにしている槇原敬之はさすがだし、カバーの楽しさを満喫しながらも原曲の素晴らしさを改めて教えてくれる、そんなカバーアルバムであった。