製作途中でブルース・リーがこの世を去ってしまった映画、『死亡遊戯』。もはやブルース・リーファンでなくとも黄色いトラックスーツの認知度は極めて高いと思うが、カルト的な人気がある映画である。生前撮影され、残されていたアクションシーンを活かす形で、(ブルース・リーのオリジナル構想とは異なる形で)全く新しい映画が1978年に公開された。それが我々が観ることが出来る『死亡遊戯』である。

しかし、ブルース・リーが残した資料や映画の構想メモなどを読み解く形で、本来ブルース・リーが完成を目指した『死亡的遊戯』(1978年版と区別する意味で、このように呼ぶことにする)がどのようなストーリーで、どのようなバトルシーンを他に用意していたのかに迫ることが、世界中のブルース・リーカルトファンの大きな目標となっていき、まるで考古学者のように、様々な研究がなされた。それだけ『死亡的遊戯』という作品はカルト的な魅力がある作品なのである。


真相に迫ろうと様々なドキュメンタリーが製作され、1978年の映画では使用されなかった映像やミステイクなども徐々に明らかになり、またブルース・リーが構想していたプロットもかなり明らかになってきた。これはジョン・リトルの『The Warrior’s Journey』(下記リンクご参照)や、『GOD 死亡的遊戯』の功績が大きいし、最新のドキュメンタリーで言えば、先日紹介した『Broken Rhythm』(下記ご参照)も含まれるだろう。

ブルース・リー『死亡遊戯』幻のメイキング本、“A Warrior’s Journey"! - blue deco design lab
ブルース・リーの新作ドキュメンタリー、『Broken Rhythm』とは! - blue deco design lab
そんな『死亡的遊戯』もついにAIによって幻のシーンを再現するプロジェクトが多く立ち上がる時代となっており、その技術力・クオリティの高さには驚かされるばかりだ。1つはNeon Flux社による『The Game Of Death – The Lost Vision Project』というAIプロジェクトだ。そしてもう一つはShannon MaによるAIプロジェクト。Neon Fluxの方はブルース・リーを始め、キャラクターがかなり秀逸に再現されており、過去のブルース・リー作品に出演していた俳優たちがAIで見事に再現され、全く新たな役どころなどが与えられている。僕の好きなノラ・ミャオも登場する。かなりリアルに再現されているので、これ自体は驚かされるレベルではあるのだが、どこかゲーム映像みたいな感じ。軽いセリフなどはいいのだが、肝心なアクションシーンになると、ブルース・リーの再現度にまだ課題は多いという印象だ。




一方でShannon Maにより公開された最新の映像、『Legendary Fight Outside the Pagoda』をYouTubeで確認出来るが、これはかなり凄い!敵が各階で待つ寺院の“塔”に入って行く前に、塔の前で多くの敵をなぎ倒すブルース・リーのバトル映像がAIで見事に再現されている。ブルース・リーの体つきやアクションの癖などもリアルに再現されているが、ぜひ一度下記リンクからこの映像をご覧頂きたい。


Bruce Lee’s Game of Death – Legendary Fight Outside the Pagoda (AI)
もちろん、まだ細部には課題があるかもしれないが、アクションのリアルさ、映像クオリティの高さという意味では、相当リアルなレベルにまで到達している。やっぱりAIの力は恐るべしである。格闘シーンは、もし若き日のブルース・リーが健在だったら、こんなアクションになっているんだろうな、と思えるような滑らかで自然な動きとなっているのが凄い。












ブルース・リーのコアファンとしては、正直このAIの進化にはちょっと複雑な心境だ。想像でしかなかったブルース・リーの死亡的遊戯の全体像が再現されるのを見たいという欲望をAIが満たしてくれるのは本当に感激である。しかし、一方でどう進化しても真のブルース・リーは完全に再現されることは無いし、してほしくもないわけで、下手に聖域を犯して欲しくないという思いも心のどこかにあるのも正直なところだ。






AIは日々目覚ましい進化を続けており、今後更に『死亡的遊戯』の完成度・再現度が加速して行くものと思われ、いずれ1本のAI映画フルバージョン『死亡的遊戯AI』として完成して、公開されてしまう日もそう遠くないだろう。またAI対AIで完成度を競うような世界になるかもしれない。著作権・肖像権などの権利関連が色々と複雑だと思うが、これからもAI間でも切磋琢磨して、そこに如何にリアルのエッセンス、リアルなセンスを投入して差別化していくか、どこまでリアルなブルース・リーに肉薄出来るかを、この2つのブルース・リーAI化プロジェクトを通じて、益々注視しながら見届けて行きたいと思う。